カミオリのサウンド開発・音楽編


ゲームの音楽を作るとき、作曲をする人間はどのようなことを考えているのか。

このことについて「カミオリ」というゲームを例として、少し解説をしていきたいと思います。そもそも、このゲームを知らない方もいらっしゃると思いますので、東京ゲームショウ2018で行われたプレゼンの動画を紹介しておきます。

このとおり、カミオリはデフォルメされた和風の世界が舞台のパズルゲームです。演出としては、プレイヤーにゲームの進行感や達成感を与えるためのアクション要素や、ノベル要素が含まれています。

音楽制作の方針

さて、話は開発初期の2015年にさかのぼります。このころのカミオリは、ゲームのルールは固まりつつあるところでしたが、音楽の雰囲気を決定づけるためのビジュアルは仮のもので、世界観を演出するにしてもストーリーが無いといった状況でした。

僕がプロジェクトに関わる前の2014年のゲーム解説動画です。

ここから音楽や効果音を置き換えてほしいということでした。明確なのは和風のパズルゲームというキーワードのみです。また、ゲームのモードは2種類にすることも決定していました。あなたがもし作曲担当なら、何から手をつけますか。

ストーリーモード

1ステージにつき、複数画面から構成されるダンジョン形式のパズルを攻略していく。ステージの間にはノベル形式でお話が展開される。

トライアルモード

1ステージにつき1画面で収まっているパズルがあり、これを解くと次のステージに進むことができる。

もちろん、僕はカミオリのゲームのコア部分に注目し、それをベースとして音楽の雰囲気を固める方向から始めました。つまり、ストーリーモードの全体像が見えてくるまでの間に、トライアルモードの音楽を先に作り上げてしまおう、という考えです。

トライアルモードの音楽

僕はゲームに対して音楽をつけるという経験がまだ浅いので、カミオリでの目標はゲームでしか表現できない音楽演出に挑戦することでした。

トライアルモードは、このゲームのルールのコア部分です。音楽の要望も「シンキングタイム」を意識してほしいという内容で、結果的に4つの難度別に音楽を用意することになりました。

ここでまず考えたのは、プレイヤーがトライアルモードをプレイしているときは、難度が変わって音楽が変化しても「トライアルモードである」ことを感じさせ続けるための音楽を流すということでした。

どうしてこれが必要かというと、カミオリにはトライアルモードとは別にストーリーモードがあり「ステージによって音楽の特徴を大きく変える」というのは、ダンジョン毎に背景やオブジェクトが変化するストーリーモードで使う演出にすると決めていたからです。

それと対比する形で、トライアルモードでは新しくステージが解放されるごとに、1つの楽曲を深みのあるアレンジに変えています。こうすることでプレイヤーを飽きさせず、かつトライアルモードであることを感じさせながら、さりげなく音楽がゲームの難度を演出するという内容になっています。

このようにプレイヤーにゲーム内での自分の立ち位置をイメージさせるために、聴覚上で何かを感じさせることを個人的に見えないUIと呼んでいます。今回は音楽編でしたが、これは効果音編でも例を紹介していますので、興味がある方は記事を読んでみてください。

ストーリーモードの音楽

お話が展開されるものは、映像に対する音楽の付け方が参考になったりします。あえてここでは多くを語りませんが、カミオリでも音楽から話の脈略や背景を語って、演出としての奥行きを持たせる必要があると考えていたので、和風のゲームだからといって全部をそれっぽくはしていません。

©︎ TeamOrigami / 白蜜柑

例えば教室でハルが出てくる現実のシーン(BGM:驚きの再開)では、コード感あふれるポップス的な音作りにしましたし、シリアスなシーン(BGM:一抹の不安 / 悲しい犠牲)では無調音楽といって、不安を感じさせるような音作りにしました。

これらは日本の伝統的な音楽の要素とは掛け離れた、近代~現代にかけて発展した音楽の要素であるので、その辺りを和風の異世界と現代的なシーンが交差するカミオリのストーリー上の演出として落とし込んでいます。

以上、カミオリの音楽について書きました。ストーリーモードに関しては、あまり語りすぎてしまうと種明かしになってしまうので、ゲームの内容が気になる方は、ぜひ遊んでみてください。

カミオリ iOS版

カミオリ Android版